馬鹿発見

今日は猫の日です。はい、3 年連続。
ところで、昨日発売の「週刊 SPA!」2001年2月28日号72〜73ページに馬鹿がいます。ちなみにその記事は超保存版 徹底分析 ! 「これが[ギャンブル必勝法](らしきもの)だ!」というタイトルの記事で、競馬やパチンコなどいろいろなギャンブルの必勝法(らしきもの)を、その道のプロ(と記事中にはある)に取材して、SPA!のライターが書いたものです。ここで取り上げるのは、それらのうち、ナンバーズ&ロトの必勝法(らしきもの)についてのもの。その道のプロ(とやら)は、デジタル・ナンバーズ研究会の原野健人さん、記者は佐々木直人さんという方々です。わざわざ買ってもらったり、立ち読みしてもらうのももったいないので、とりあえず73ページのロトについての記事を、引用してしまいます。文中にいくつもツッコミたい部分がありますが、とりあえず読んでください。

ロト必勝のカギは数字を散らすこと

31個の数字の中から5個を選ぶミニロト、43個の数字の中から6個の数字を選ぶロト6。理論上の出現確率*1ミニロトが約17万分の1、ロト6に至っては約610万分の1。こりゃ。当たらないねぇ……。

「両者とも、当てるのは難しいです(笑)*2。」でも、当たらない数字の組み合わせならあらかじめわかります。ミニロトを例に説明すれば、01 03 05 07 という数字の組み合わせは、ほぼ確実にこないでしょう」

当せん*3数字は機械によって選ばれるのだが、出ない組み合わせには数学的な根拠があるという。

ミニロトで説明すると、5個の数字の組み合わせで、全てが奇数になる確率は低いでしょう?半分は偶数になると考えるべきです。同じく、31個の数字のうち」01から15までが低数字、16から31までが高数字として考えると、5個すべての数字が低数字になる確率はやはり低いわけです。」

ミニロトの全番号の組み合わせは16万9911通りだが、"偶数3個+奇数2個"及び"奇数3個+偶数2個"の組み合わせが、出現確率で全体の66.7%を占める。例えば5個全てが偶数になる組み合わせなら3003通りで、理論上の出現確率は1.8%にすぎない。出にくい数字をわざわざ選ぶな、ということである。

「68回までのミニロトの当せん結果で見ても"偶数3個+奇数2個"の当せんが26回出ていて、実に5回に2回はこのパターンです」

高数字&低数字の場合も、同様の結果が言えるのだ。つまり選び方としては、まず基本となる数字を決め、偶数・奇数と高低数字を散らしながら選ぶのがいいわけだ。

ロト6の場合も同様の考えですが、現在までの当せんサンプルが乏しいので、ロト6ならではの傾向を見定めるのはまだ先の話になりますね。現状で買ってはいけない具体的な数字をあげるなら、いままでに当せんした数字の組み合わせになります。610万分の1の確率で選ばれた組み合わせが、また、近々選ばれることはないと考えるべきでしょう」

特にロト6は当たれば人生が変わるほどの代物。簡単に当たるはずもないが、途方もない数字の組み合わせの中から1組を選ぶには、いい目安になりそうである。

引用はここまでで終わりですが、読んでなんの疑問も感じませんでしたか?だとすると、数学苦手でしょ。そういう方にも分かるように説明できるかどうか自信ないけど、とりあえず私もミニロトを例にして(ロト6は計算が面倒くさいから)、ツッコんでみます。多少計算式とか出てきますけど、そんなに複雑な話ではありません。
記事にある必勝法は大雑把にいうと2つ。つまり、

  1. 偏った数字の組み合わせを選ぶな。
  2. 一回出た数字の組み合わせを選ぶな。

ですが、どちらも数学的根拠などはなく、単におまじないとでも言うべきものです。

偶数の数 奇数の数 組み合わせ数
0 5 4,368
1 4 27,300
2 3 58,800
3 2 54,600
4 2 1,840
5 0 3,003

まず前者についてですが、5つの数字がすべて偶数な組み合わせは記事中にもある通り3003 通り、奇数のみの組み合わせ、4368通りと合わせても、7371通り、出現確率は約4.3%です。それに対して「偶3-奇2、または偶2-奇3の組み合わせ」が何通りあるかというと、11万3400 通り、出現確率は約 66.7%です(参考までに、偶数奇数の組み合わせによる、パターンの表を乗せておきます)。こうやってみると、奇数のみ、あるいは偶数のみを組み合わせるより、3つと2つに散らした方が15倍くらい当たりやすい、ように見えますが、これは当たり前の話です。組み合わせも約15倍あるんですから。
こういう説明もあります。全部奇数で構成した、[3,7,13,19,21] という組み合わせが出現する確率と偶数と奇数、低数字と高数字を分散させた数字で構成した [4,10,15,21,26] という2つの例、どちらが、当選確率が高いでしょうか。考えるまでもありません。全く同じ、169911分の1です。
それでも分からない場合はモデルを単純化すると分かりやすくなります。例えばサイコロを2つ振る場合です。記事の理論に従うと、サイコロを2つ振った場合、1-3(奇数と奇数)が出る確率は、1-4(奇数と偶数)が出る確率より低いということになります。なりますか?そんなこと考える人いませんよね。
そもそも、31種類の数字を、奇数と偶数とか、低数字と高数字などと意味付けするからこんなおかしな理論になってしまうわけです。はっきり言って無意味です。ロトというシステムの上では、1という数字には1であるという以上の意味はないんです。奇数だとか、31種類の数字を1〜15と16〜31にわけたうちの小さい方に入っているなどというのは、単なるこじつけに過ぎません。
ここまではご理解いただけましたでしょうか。次に後者の「1回出た数字の組み合わせは当分はもう出ないだろう」という考え方。前回出た組み合わせが次回にも出る確率は169,911の2乗、すなわち28,869,747,921分の1、百分率にするのも馬鹿らしいほどの低い確率、とか思います?これ勘違いです。
やっぱり単純化するためにサイコロを例にします。サイコロの1が出る確率は6分の1です。じゃぁ、2回振って2回続けて1が出る確率は?正解は6分の1×6分の1で、36分の1です。でも1回サイコロを振った結果、1が出ました。次にサイコロを振ったときに1が出る確率は?となると36分の1じゃなくて6分の1です。何故ならこれから振るサイコロの目と、前回振って出たサイコロの目には何の相関関係もないからです。
ミニロトに話を戻しても同じことです。前回1等だった組み合わせが次の抽選で1等になる確率は、他の組み合わせ同様、169911分の1なんです。
こんなのは数学的根拠などとはとても言えないんですけど。
まぁ、信じたい人は信じればいいんですけどね。選択肢が169911から、概算ですけど75000位まで減りますから、選ぶの楽でしょ?
ちなみに私の考えるところの必勝法は「予知能力を身につけろ」です。どうやって身につけるのか?そこまでは知りません。焼け落ちそうなお社から、御神体(お寺からご本尊だっけ?)でも助け出したらいいんじゃないですか。もっとも、身につくのは予知能力じゃなくて、念動力とか、金属探知能力になるかもしれませんが。あっ、この方法、12歳以下じゃないとダメかも。

*1:細かいこと言うようだけど何の出現確率なんだか

*2:使いたくないけど引用だから仕方ねぇ。

*3:なぜ当選や当籤ではないのか?まぁ、そういう法律でもあるのかもしれんが